対処すべき経営課題

① 人材の確保

 当社グループでは、ITサービス産業において一般的な労働集約型ビジネスではない、より高付加価値なストック型ビジネスの拡大を目指しておりますが、さらなる成長に向けては、優秀な人材の確保・育成は不可欠であります。ITが全産業分野に浸透して行く中、IT人材の獲得競争は、同業者間のみならず、異業種やベンチャー企業の間でも熾烈さを増しています。今後、事業を拡大していくためには、人材の確保が生命線となり、優秀な従業員を継続的に採用していく必要があります。新卒の定期採用においては、潜在能力の高い人材を、また中途採用においては、即戦力として活用できる経験者を幅広く採用します。また、海外からの人材の採用も検討を進めます。

② 収益の平準化

 当社グループの収益構造は、顧客企業の予算執行のタイミングや開発システムの工期との兼ね合いから、通期決算期末(3月末)に役務の提供の完了及び売上計上が集中する傾向があります。現在、ストック型ビジネスの推進により、売上高が特定時期に偏重する季節性は薄れてきておりますが、顧客の決算が集中する3月の売上が他月と比較して依然多い状況が見られます。キャッシュ・フローを平準化し、また、技術者の業務集中及び不測の事態等により売上が翌期にずれる、いわゆる期ズレを防ぐためには、受注を平準化することが課題となります。対策として以下の4点が挙げられます。


a.前決算期に受注を確定し、翌決算期に売上が計上されるような案件の受注を増加させる。
b.特定顧客との安定的、長期的なビジネスを軸に年間を通してコンスタントに受注していく。
c.継続的な保守サービス及びクラウドサービスの受注によりストック型ビジネスの比率を上げ、安定的な収益の計上を行う。
d.積極的に新しいサービス(従量課金型クラウドサービス等)を立ち上げ、持続性、安定性のあるビジネスモデルを構築する。

③ 為替変動による影響について

 当社グループの取扱い製品のうち、海外から仕入れた製品の大部分は米ドル建で契約しております。為替相場の急激な変動があった場合等には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。そのため為替変動によるリスクをヘッジする目的で先物為替予約を行っております。また販売先に対して為替相場の状況に応じた価格交渉を行っております。

④ 大型の継続取引における資金繰りについて

 昨今、サイバーセキュリティ分野においてもクラウドサービス化が進み、複数年にわたるサブスクリプション契約など顧客との継続取引契約が大型化する傾向にあります。その際は、顧客よりの資金回収が単年度毎となり、一方で、海外ベンダーへの支払いが一括前払いとなるケースがあり資金繰り負担が発生する可能性があります。そのため、回収サイクルと前渡金負担のギャップを注視し、計画的な資金繰りを行って行きます。

⑤ 市場環境(ニーズ)の変化への迅速な対応

 世の中が不可逆的に変化していくことを認識し、絶えず変化する市場環境(ニーズ)に対し、当社のビジネスも迅速に対応する必要があります。当社の事業領域においては、オープンソースの普及、クラウド化の流れとともに、ソフトウェア開発の内製化が加速しており、ITは技術的専門性の高い企業だけが扱えるという時代は終焉を迎えようとしています。当社グループの対応としては以下の6点が挙げられます。


a.これまで展開してきた特定顧客向け受託開発のための技術リソースを「自社独自サービスの開発」、「自社付加価値を高める」方向へと戦略的にシフトします。
b.特定市場、特定業務をターゲットにしたベストプラクティスである自社独自クラウドサービスのビジネス展開を加速します。
c.ビッグデータ解析、BI(Business Intelligence)、AI(人工知能)等を利用し、クラウドサービスを通じて得られたデータの利活用を検討します。
d.製品販売とサービス展開における即効性のあるシェア拡大策、事業拡大策として、オープンイノベーションを意識し、ベンチャー企業を含む外部企業や大学、異業種、同業他社や当社グループの事業を補完しうる事業者に対する事業提携やM&Aについて積極的に検討を進めて行きます。
e.サイバーセキュリティ対策技術の提供形態がクラウドサービス化されていく流れの中で、当社独自の付加価値を増大させるため、統合セキュリティ運用・監視サービスなどのサービス化を加速度的かつ高度に進めてまいります。
f.データが価値を生み、ビジネスがB2CとC2Cに収斂されていく世の中との認識のもとに、当社の専門領域において消費者向けビジネスの展開を検討します。

⑥ 海外市場の開拓

 国内情報サービス産業においては、クラウドサービスが普及し、IT投資に分野毎の濃淡が出始めている中、よりグローバルな視点で事業を拡大する必要があります。成長を続けるアジア新興国を中心とした海外市場に対して自社開発の製品やサービスの輸出事業を展開していきます。

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