TaoTao株式会社様
新たな金融取引である暗号資産(仮想通貨)のリスク管理に、銀行・証券・生保で実績のあるTradingVaRを導入
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Trading VaR [トレーディング・バー]
仮想通貨(暗号資産)運用リスク管理ソリューション
テクマトリックスの「Trading VaR と Apreccia」のソリューション
大手インターネット専業銀行である楽天銀行株式会社。同社ではテクマトリックスが日本総代理店である 「FINCAD」をベースとしたシステムを複数導入している「FINCAD」は世界80ヵ国3500以上のユーザーがいる金融商品評価ライブラリ製品。テクマトリックスでは。「FINCAD」を使用した製品群を「FA Plus(FINCAD Analytics Plus)」ソリューションとして提供しており、楽天銀行には、ミドルの市場リスク管理システム「TradingVaR」、フロントの金融商品管理システム。「Apreccia.3」を導入している。また、「FINCAD」を使用したサブシステムの開発なども行い、長年に渡って、楽天銀行の市場系運用業務をサポートしている。
楽天銀行株式会社は、2010年に旧イーバンク銀行が商号を変更したことで誕生した新しい銀行だ。2001年に創業した旧イーバンク銀行から引き続き、インターネット専業銀行として広く利用されている。メールアドレスのみで送金できるサービス「かんたん振込(メルマネ)」や、スポーツ振興くじ「toto、BIG」のインターネット販売など、コンシューマー向け銀行として精力的にサービス展開を行っているという印象が強い楽天銀行だが、一般の金融機関と同様に資産運用業務も行っている。この運用業務を裏で長く支えてきたのがテクマトリックスの「FA Plus」ソリューションの製品群だ。
「テクマトリックスとのつきあいは、私が前職の頃に遡ります。2001年頃からですから、もう10年のつきあいになりますね。金融商品のリスク管理システムは何を採用すべきか、とメガバンクでリスクマネージャーをしている知人に相談したところ、多品種少量の商品を扱うならばFINCADが最適だろうと推薦されたのが始まりです」(常務執行役員 運用業務本部長 稲垣高志氏)
「FINCAD」は関数ライブラリであり、比較的容易に導入できる。さまざまな金融機関で採用された実績のある、信頼性の高い関数をベースにリスク管理システムの構築ができることがポイントだ。各関数に対する解説も充実しており、それに基づいてのルール策定ができることや、ロジック変更の柔軟性などに定評がある。
2005年に楽天銀行の前身であるイーバンク銀行で国債などの保有債券のリスク管理システム構築の必要性が高まったときに、稲垣氏は「FINCAD」の存在を思い出した。
「社内では当初、既存のバックシステムにリスク管理機能を組み込もうと考えていましたが、難航していました。私はリスク管理専門のシステムを使った方がしっかりとした管理ができ、コストメリットもあるだろうと考え、以前から知っていたテクマトリックスにFINCADベースで良い製品はないかと尋ねたのです」(稲垣氏)
選定時に重視されたのは「多品種少量」という、取り扱い内容にマッチしたリスク管理が行えることだった。当時のリスク管理システムには、同一品種を頻繁に売買することや、類似品種を大量に扱うことに特化したものが多かった。そうした中で「FINCAD」は、多品種少量という要求に十分応えられる。テクマトリックスからは、「FINCAD」をベースとした「TradingVaR」を提案した。
「TradingVaRはカバレッジが広く、拡張性が高いため、私たちの多品種少量の多品種への対応という要求にマッチしていました。毎年更新されるFINCADのライブラリを適用すれば、新しい商品にもすぐ対応できます。大量売買を行うわけではないので、正確かつ的確に処理してくれるという信頼性を重視しており、結果には非常に満足しています。短期間で導入できたのも大きなメリットです」(稲垣氏)既存製品の導入だけでなく、システム開発の面でもテクマトリックスが開発支援を行ったのがこの時期だ。「TradingVaR」導入に並行して「FINCAD」をベースとしたALM簡易ツールの開発を行った。
「本格的なALMを導入する前段階として導入しました。ALMは別モジュールにしてTradingVaRとデータを連携させています。使っている側としては、どこまでがTradingVaRでどこからALMなのかわからないくらい、自然な連携が実現しました」(稲垣氏)
市場状況や関連法がめまぐるしく変化する中、金融商品を取り扱う金融機関は迅速に対応することが求められている。そのため、導入期間が短期間であることに加えて、変化に柔軟に対応できるシステムが必要だ。ライブラリの更新によって迅速に新たな状況へ対応する「FINCAD」をベースとしたシステム構築は、短期間で的確なシステム構築を実現すると稲垣氏は評価している。
2007年にはJ-SOXに対応するための新システムとして「Apreccia.3」が採用された。従来は新しい商品が頻繁に追加される環境に、Excelを利用して対応していたが、そのままでは内部統制の要求には応えられない。「多品種少量」という取引特性に対応しつつ、内部統制も実現できるシステムを構築することが課題だった。
「Excelで作ったスプレッドシートのデータが、そのままDBに格納できるというのが魅力でした。当初はバックでの管理や一部経理伝票作成のために、金融派生商品を中心に使いはじめたのですが、扱う商品種類が増えるにしたがって対応範囲が広がりました」(稲垣氏)
最初はバックおよびミドルでの活用が主体だったが、有価証券の商品種別が増えたことでフロントサイドでのポジション管理や収益管理を詳細に行う必要が高まった。そこで、別途有価証券管理モジュールの開発・導入が決定された。これにより、フロントでの1次入力、承認やチケット出力、バックでの2次承認などが可能になり、フロントからバックまでの統制が取り易くなった。
有価証券管理モジュールの開発は2009年初頭から年末にかけて1次開発が行われ、ついで2010年半ばまでに2次開発が完了。現在、業務に十分に活用されている。
「Apreccia.3に有価証券管理モジュールが加わったことで、フロントでのポジション管理もしっかりできるようになりました。また、Excelによるマニュアル作業がシステム化されたのもよいポイントです。もう1つ我々にとって都合がよかったのは、Apreccia.3がキャッシュフローベースのシステムなので償還のキャッシュフローがいろいろなタイプに対応できるものだったことです。普通の満期一括型だけではなく、証券化案件などを扱う時に必要ないろいろなタイプのキャッシュフローに対応できることで、柔軟なシステム対応が可能となりました」(稲垣氏)
現在、楽天銀行ではIFRSへの対応方法を検討中だ。システムのメイン部分は別システムの構築を予定しているが、その中で利用される一部商品のキャッシュフローや商品価格は、今まで使用してきた「Apreccia.3」や「TradingVaR」の算出値を使用する形になりそうだ。信頼が置ける数値をそのまま流用することで、既存のシステム資産を活かそうという考えだ。また、会計上必要となる時価開示についても「TradingVaR」が計算した時価を活用する予定でいる。
「Apreccia.3やTradingVaRはキャッシュフローがベースのシステムなので、考え方がIFRSにマッチしており、連携して使いやすいという判断です。ミドルやバックでの取引上だけでなく、会計上でも数字を活用しています。柔軟性が高く、システム開発に取り組みやすいのも、これらの製品の持つ大きなメリットでしょう」(稲垣氏)
楽天銀行は金融機関としては新しい存在であり、運用対象や仕事の流れが新しい方向へと広がる速度が速い。市場のニーズや会計のニーズが変化することにも加えて、そうした流れにも迅速に対応することが求められる。稲垣氏は、テクマトリックスの各種製品がそうした要求にきちんと対応する力を持っていると評価している。
「柔軟性の高い製品だけに、導入すればすぐに使えるというものではありません。ユーザー側で決めることも多々あります。最初の設計部分が肝心なわけですが、そこはテクマトリックスと相談しながら進めることになります。計画的な動きが必要ですが、どこまでをシステムでやるのか、どこからはExcelでやるのかといったことまで含めて、しっかりとサポートして導入してくれるのは心強い存在です」(稲垣氏)
常務執行役員
運用業務本部長
ビジネスソリューション事業部
ビジネスソリューション営業部
金融システム営業課