老朽化したバックアップシステムで発生していた数々の課題
マーケティングリサーチをベースとしたデザインマネジメントコンサルティング会社の旧イードと、WEBメディア開発運営会社の旧IRI-CTが合併して生まれたコンテンツマーケティングカンパニーのイード。「すべての人に最高のユーザーエクスペリエンスを!」というビジョンを掲げ、人々のニーズに寄り添った「メディア事業」、定量・定性・海外調査など幅広いリサーチ・コンサルメニューによってマーケティング課題解決を支援する「リサーチ事業」、EC事業者向けにショップ運営ASPシステムを提供する「メディアコマース事業」を3つの柱とするビジネスを展開している。
なかでも特に注目すべきがメディア事業だ。IT、自動車、教育、映画、ゲーム、アニメなど各分野に特化した21ジャンルにまたがる約70サイトメディア・サービスを運営し、月間5000本以上の記事を配信し、総閲覧数は月間1億8000万ページビューに上る。
イード 管理本部 副本部長の永島伸幸氏は、「現在の売上のうち大きな割合を占めているのは広告ですが、『360度のビジネスモデル』を標榜するなかで、オンラインのセミナーやイベント、コンサルティング、サブスクリプション型サービスへも注力しています」と語り、積極的なビジネスの多角化を図っている。
こうしたビジネスの拡大・成長に伴い、基幹系アプリケーションサーバやファイルサーバで保持・管理するデータもどんどん増大していく。イード 管理本部 情報システム部の稲澤将紀氏は、「数百台におよぶ仮想サーバ上で運用しているこれらの社内システムのデータの総容量は、かなり大きな容量になっています」と語る。当然のことながらこれらのデータは、事業運営に欠かせない最重要の経営資源にほかならない。
しかしイードではこれらのデータを保護し、事業継続性を担保する上で大きな課題を抱えていた。7年以上前に導入したバックアップシステムが老朽化し、アップデートもままならない状態となっていたのだ。
「最大の問題は差分バックアップの機能がうまく働かなくなっていたことです。このため毎回フルバックアップを行わなければならず長時間化しており、最近ではジョブが完了するまでに2~3日を要していました。また管理コンソールのUIも設計が古く、あまり使い勝手がよくありませんでした。そんな事情もあって一部のデータについてはWindowsの標準機能を併用して手動でバックアップを行っており、オペレーションがますます煩雑化している状況にありました」と稲澤氏は振り返る。