課題 データ量増加でバックアップ業務が限界に近づきつつあった
課題
- データ増加でバックアップ対象を最小限に
- 毎晩のERP差分バックアップが業務開始前ぎりぎり
- テープへのフルバックアップは3週間かかるので月次に
- 大阪DCへのデータ転送は回線の制限で必要最小限に
- 大阪DCの維持と保守でコストや工数がかかる
- バックアップソフトが3種類あり、運用手順が煩雑
テクマトリックスのコーポレート本部 IT推進部は主に社内システムの管理、運用、保守を担当している。いわゆる「社内情シス」にあたる部門だ。
コーポレート本部 I T推進部 I Tインフラ構築・運用課 吉川岳哉 は「社内で管理するデータは年々増えていきます。減ることはありません。特に開発のコードやログなどが増えています。データ量が増えてバックアップの運用が厳しくなり日々『どうにかならないだろうか』と頭を抱え、課題解決につながるバックアップソフトを探していました。そこにCohesityを扱うと聞いて『うちで使いたい』と思いました」と話す。
データ増加に伴い、バックアップの運用が限界に近づきつつあった。バックアップ対象とするのはファイルサーバのデータとERPなど重要なシステムのデータだ。サーバの台数は全体で25台、うち6台が基幹システム(ERP)。データ量は、ファイルサーバ全体で35TB、日々の更新が50GB、ERPのデータベースは全体で2TB、日々の更新が522GBとなる。これらの重要なシステムのデータを保管し、万が一の障害が起きた時にも復旧できるように万全のバックアップ体制を敷いている。
以前は東京DC(データセンター)でデータをバックアップし、2系統で保存していた。1系統は東京DC(データセンター)から大阪DCのストレージにデータを転送、もう1系統は東京DC内でテープに記録して遠隔地の安全な場所で保管という方式にしていた。
大阪DCはBCPのためのDCとして運用していた。東京DCが使用不能になった時に備えたDCという位置づけだ。システムへの書き込みは東京DCのみなので、大阪DCでは東京DCと同スペックのサーバとストレージを用意し、日々バックアップデータを受け取っていた。物理的な拠点なので当然ながら施設使用料や電気代がかかり、ハードウェアが故障すれば交換し、作業が発生すればエンジニアが出張する工数も発生していた。
年々データが増加していくため、バックアップにかかる時間が増え、運用に限界が見えてきた。当初テープへのフルバックアップは週次で実施していたところ、テープへの書き込みに時間がかかるようになり、週次から隔週になり、最終的には月次となるまで妥協せざるをえない状態だった。吉川は「データが35TBにもなると、テープへの書き込みに3週間かかります。テープが足りなくて失敗することもあり、やり直すと翌月のバックアップが始まるのでその月の分は断念することもありました」と話す。
ERPなど特に重要なシステムのデータは日次で差分をバックアップしていた。こちらもデータは日々増加し、ERPのデータベースにあるデータは差分でも毎日平均で522GB。深夜2時にシステムを停止してバックアップしていた。当初は朝6時には終了していたものの、データ増加に伴い、終了する時間が次第に延びて朝7時になり、朝8時台になることも。吉川は「このままでは9時の始業に間に合わなくなるのは目に見えてきました。すでに朝7時台に出勤する社員からは『使えない』と苦情を受けていました」と言う。
日次の差分バックアップは大阪DCにネットワーク経由で転送する。東京DC内の夜間バックアップよりは時間に余裕があるものの、回線帯域の制約もあり、必要最小限のデータにしていた。
こうしたデータ量増加に伴う課題に加え、バックアップ業務の複雑性も課題となっていた。システム導入経緯などで、バックアップソフトは2種類を併用していた。ソフトウェアが異なれば作業手順も運用画面も異なり、日々の運用が複雑化する要因となっていた。それぞれ慣れたエンジニアが行うため、作業の属人化につながる。吉川は「ソフトウェアライセンスが複数になるだけではなく、ソフトウェアのバージョンアップ対応も別々に生じます。できれば1種類に統一して運用をシンプルにしたいと考えていました」と話す。
昨今ではデータを破壊するランサムウェア攻撃もあるため、バックアップは万全にしておく必要がある。数分で迅速に復旧できるシステムを持つことは、テクマトリックスのビジネスにとって非常に重要だ。
…