Jira Softwareとの連携が自動化できることや社外との共有も容易な点が決め手に
今回、テスト管理ツールの導入を検討した理由として、若子氏は「テスト管理プロセスの効率化」「既に導入しているプロジェクト管理ツール(Jira Software)」との連携自動化」「外部委託先との円滑な情報共有」といった要素を実現したかったと話す。
従来、同社では多くのプロジェクトにおいて、Excelによるテスト管理が行われていた。その過程で、若子氏は、テストの効率を悪化させる、さまざまな課題があると感じていたという。
「テスト仕様書の作成、レビュー、実行結果の集計、管理といった、すべての工程でExcelが使われていました。新たなプロジェクトを始める際には、テストケースを再利用するため、既存のExcelファイルをコピーして、そこに項目を追加していましたが、Excelのシート上でそれを行うと、集計用の計算式が崩れてしまうことがあり、その修正に時間をとられるという、本末転倒なことも起きていました」(若子氏)
問題はほかにもあった。同社ではテストで判明したバグを修正する際のトラッキングを、「Jira Software」上で行っている。Jira Software上のチケットと、Excel上のテストに関する情報は、手作業で関連付けを行っていた。また、テスト実施を外部のパートナーに委託するケースでは、Excelファイルをメール添付でやり取りしており、返送されてきた結果の統合を、やはり手作業で行う必要があった。これらの手作業は、テスト作業の効率を悪化させ、進捗状況の正確な把握を困難にする原因にもなっていた。
「テストプロセスの効率が悪いことで、プロジェクト全体の負荷も高まっており、改善が必要だと感じていました。今回、i-PRO Remo.という、クラウドを活用した新しいプロダクトの開発に一から取り組むにあたっては、今までのプロセスを変える必要があり、テスト管理についても、新しいやり方を取り入れたいと思いました」(若子氏)
同社では、複数のテスト管理ツールを試用し、比較検討を実施した。当初は、Jira Softwareのサードパーティプラグインとして提供されているツールも候補にあったが、テストケースをバグトラッキングと同じ、チケット管理のスキームで扱う点に違和感があり、Jira Softwareと連携可能な単体のツールを導入する方針とした。単体のツールにも複数の選択肢があったが、最終的に同社では「TestRail」を採用する。
「TestRailは、階層式の“セクション”という概念でテストケースを管理します。比較したツールの中には、よりExcelに近いインターフェースが用意されているものもあったのですが、今回の目的のひとつに、Excelでのテスト管理から脱却し、効率向上を図ることがありましたので、あえて、新しい概念とやり方を取り入れてみようと考えました」(若子氏)
i-PRO Remo.サービスのプロジェクトでは、テスト管理ツールを、外部の委託先と共有して使いたいというニーズもあった。ちょうどその時期、テクマトリックスが、国内向けに、TestRailのクラウド版サービスを開始したことも、導入決断の大きなきっかけになったという。
TestRail導入前のテスト管理。テストケース/結果管理の専任担当者が必要だった