確認工数を削減。出荷判定会議の資料はTestRailで作成
TestRailは2020年3月から本格的に活用を開始した。導入後の効果について和久氏は主に3点ほど列挙する。
1つめは、テストケースを作成する際のチェック時間の削減。新しいテストケースを作成する際、これまではExcelのシートをコピーして新しいフォーマットに作り変える作業を毎回行っていたため、抜け漏れがないかチェックに時間がかかっていた。TestRail導入後はWeb上でフォーマットに従ってテストケースを作成するようになったため、テストケースの登録に抜け漏れが減った。また、過去に登録したテストケースを参照・再利用することもできるので、チェック作業が効率的に行えるようになった。「大きなバージョンアップが行われる時などは、Excelのフォーマットを作り直す作業に1ヵ月費やすこともありましたが、現在はTestRailにあらかじめ用意されているフォーマットの調整を行うだけなので、1~2日で完了します。過去のテストケースを見返しやすくなった結果、正確性が向上し、属人的なやりとりが削減され、非常に効率化できました」と和久氏は高く評価する。
2つめは、テスト進捗管理の精度向上。Excelで管理していた時はシートを見比べながら進捗確認を行っていたが、TestRail導入後は、開発部隊のリーダーやテスト部隊のリーダーがそれぞれのタイミングでTestRailにアクセスし最新の進捗状況を確認している。また、進捗レポートも必要な項目をカスタマイズでき、設定した任意の宛先に定期的に届けることができる。TestRailのインターフェイスやレポートは視認性が高く一目で判断できるためリーダーたちにも好評だ。
3つめは、テスト管理時間の短縮。TestRail導入後、和久氏の月あたりの作業時間のうち、 1~2日分は削減されているという。「削減できた時間は、ソフトウェアの仕様の再検討など別業務に費やしています」と和久氏は話す。また、ソフトウェア開発の最終段階で行われる出荷判定会議に向けて、資料を1日かけて作成していたが、TestRailで出力されるレポートを活用することで、わずか数分で完了するようになった。省力化できた上に、見やすく分かりやすくなったという。
開発者、テスター、管理者、それぞれのTestRailの利用内容