開発の効率化と品質向上を目指し、静的解析ツールの導入を検討

「デジタル化が急速に進展する中で、お客さまが抱える課題は、より複雑に関係し合うようになっています。みずほリサーチ＆テクノロジーズは、従来のシンクタンクやシステム開発企業の枠を越え、デジタル化を軸とした、リサーチ力、コンサルティング力、IT構築力といった幅広い専門機能を有機的に融合させたソリューションで、新しい付加価値を提供することを目指しています」

そう話すのは、同社 先端技術研究部 生産技術チーム 調査役の小原恒夫氏だ。小原氏の所属する先端技術研究部は、みずほグループや顧客の課題解決に資するような、各種先端技術の研究・開発を行い、実用化を図る組織である。一般的な“研究開発部門”としての役割だけでなく、その知見を、技術者育成や実案件への適用支援といった形で、社内へ展開していくことにも取り組む。

中でも「生産技術チーム」は、同社のシステム開発事業に関連して、高品質なシステムを効率的に開発運用するための生産技術を専門とするチームとなっている。主に、アプリケーションの設計・開発工程で用いられる技術・手法を取り扱い、社内開発組織の技術力強化や生産業務の効率化、品質向上に向けた取り組みを行う。近年、注力している領域のひとつが「テスト工程の効率化」だ。

生産技術チーム 調査役の近藤誠氏は「統合テスト以降のテスト工程の自動化については、数年前から取り組みを進めており、既に多くのプロジェクトで自動UIテストが導入されるようになっている」と話す。次の段階として進めているのが、統合テスト以前の早い段階から「静的解析ツール」によるコードチェックを実施し、プロジェクト全体での開発効率の向上および成果物の品質向上を図る取り組みだ。

「早期から、コードに対して静的解析を行っておくことが、開発の後工程に入ってからの問題発覚と手戻りの発生を防ぎ、工期短縮やコスト削減につながります。そこで、静的解析ツールを用いたコードチェックを、より多くのプロジェクトで実施しやすくするための施策を検討していました」(近藤氏)

多くの現場でメリットが享受できるよう静的解析の「サービス化」を実施

この施策を進めるに当たっては、いくつかの「課題」を解決する必要があった。静的解析を行えるツールは多く市場に存在するが、有償のものは各プロジェクトで個別に導入しようとすると、コスト面での負担が大きくなりがちだ。加えて、どれだけの導入効果があるかが分からない状況では、予算も付きにくい。一方、無償のものは提供元の技術サポートがないため、結果的に学習コスト、運用コストが高くなる。

また、コストと同等以上に大きな課題と考えられたのは、静的解析ツールを「使いこなす」にあたって、ユーザー側にある程度の時間とスキルが求められる点だった。「多くの静的解析ツールは、ユーザーにとって必要以上に多い“違反”を検出します。その内容を逐次確認し、対応が必要なものだけを抜き出すには、ある程度の手間とスキルが必要です。社内に静的解析を浸透させるには、当部でツールを貸し出し、後は開発部署に任せるような体制では難しいと考えていました」(近藤氏)

生産技術チームでは、これらの課題を解決し、開発部署の負担を最小限に抑えながら静的解析を導入した効率的で高品質な開発を可能にするため、静的解析の「サービス化」を図る。これは、各プロジェクトの依頼によって、同チームが静的解析を実施し、その結果を修正提案が付いた分かりやすいレポートとして各プロジェクトへフィードバックするというものだ。

このサービスを展開するためのツールとして、テクマトリックスが提供するParasoft社の「dotTEST」および「Jtest」を採用している。

事例の続きは、資料ダウンロードのお申し込みをお願いいたします。

---

＊ 掲載日：2023年5月
＊ 資料記載の担当部署は、取材時の組織名です。