約800種の帳票を集約し、Yellowfinで閲覧可能に
新しい基幹システムが稼働した2019年10月、約400種の帳票を集約した上で、Yellowfinで閲覧できるようにしました。
しかし、これだけで終わりではありません。京王百貨店では2008年に導入した某DWH製品をベースに開発した情報系システムの刷新にも着手したのです。同システムでは日々の営業情報などを、職位・職制ごとに必要なレポートが閲覧でき、優良顧客や売れ筋商品を分析、把握できるような仕掛けとなっていました。もちろん、同システムの帳票も紙で出力されていました。この旧情報系システムの刷新に伴い、定型的な約400種のレポートについても、「約1年かけてYellowfinに移行した」と杉山氏は明かします。
特に、旧情報系サービスの帳票の移行には、かなり頭を悩ませたと、Yellowfinの導入を支援したテクマトリックス株式会社 データソリューション技術課の塩田靖久氏は語ります。なぜなら、Yellowfinは全社員800名が活用するシステムだったからです。「社員の中にはPC操作に慣れている人もいますが、中にはPC操作にアレルギーを感じている人もいるなど、ITリテラシーにはかなり幅があります。こういった方々に専門的な教育を実施しなくても、ぱっと見ただけで使えるシステムに仕上げる必要がありました。ユーザーである社員の皆さんの仕事は数表を読み解くことではありません。いかに情報をわかりやすく伝えるかにこだわる。それが開発側の腕の見せ所で、そこに挑戦していきました」(杉山氏)
開発はアジャイル方式で進めました。社員にプロトタイプを提供した上で意見を聞きながら少しずつブラッシュアップさせていき、現在では、Yellowfinではフィルターで使用する項目などを工夫することによって、従来あった800種以上のレポートが閲覧できるようになっています。そしてこれらのレポートの作成は、すべてシステム担当で行いました。
ユーザーへのリリースにも細かな気遣いがあります。ユーザーに開放する機能はフィルター条件の変更や、必要なタイミングで情報を取得するためのスケジューリング機能など、一部に絞っています。また、全社員がすべてのデータにアクセスできるわけではありません。データのアクセス権は人事システムのマスター情報と紐付けており、職位や職制によって閲覧できる内容が変わります。「人事異動があっても動的にアクセス権が変更・付与されるように仕組化されています」(経営企画部システム開発担当 係長 岡本充央氏)