新たなバックアップ基盤に求めたマスト要件
ただしバックアップソフトをリプレイスした場合でも、既存ユーザーに対するサービスレベルは確実に維持しなければならない。今回のプロジェクトで主導的な役割を果たしたSIパートナー、CTCシステムマネジメントの和田 政彦氏は、この点を強く留意して臨んだ製品選定の方針を次のように語る。
「新しいバックアップソフトで絶対に満たさなければならないのは、『データベースのバックアップ/リストアができる』、『仮想マシンのバックアップ/リストアができる』、『NAS上で運用している膨大なファイルをクラウド上の安価なストレージに移行し、長期間にわたるアーカイブ保存ができる』の大きく3つです。これをマスト要件として、複数のバックアップソフトの比較検討を行いました」
この結果としてBIGLOBEが最終的に導入を決めたのが、テクマトリックスから提案されたモダンデータ管理プラットフォーム「Cohesity」である。
他社のバックアップソフトでもデータベースや仮想マシンのバックアップ/リストアには対応することができたが、特に大きな差があらわれたのはNAS上のファイルのクラウドへのアーカイブ保存である。
「他社のバックアップソフトでもできないわけではありませんが、システム連携のための個別の設定変更や作り込みが必要となります。これに対してCohesityはAWSをはじめとするクラウドのS3/NFS互換のスト レージをターゲットとして、自動的にデータを階層化することが可能です。CohesityのNAS領域をマウントするだけでファイルをそのままクラウドに移行できるCohesityの利便性は、他社製品を圧倒していました」(和田氏)
また、マスト要件以外でもCohesityは、バックアップ環境の改善に大きく寄与することが期待された。可用性の向上もその1つである。
「実はこれまで利用してきたバックアップソフトはシングルノードでの運用しかできず、すなわちそのノードに障害が発生するとバックアップが正常に取得できなくなる問題を抱えていました。これに対してCohesityは冗長構成をとることで、バックアップ漏れのリスクを大幅に低減することができます」(和田氏)