■課題:デジタル映像制作を支えるストレージの環境改善が課題に
「ポケットモンスター」シリーズをはじめとして、世界中で愛される数多くのアニメ作品やCG作品の映像制作を手がけるOLMグループ。そのビジネスの中核を担う企業として、デジタルアニメーションコンテンツの企画・制作を行っているのが、オー・エル・エム・デジタルだ。同社 研究開発部門の四倉 達夫氏は「当社ではアニメーションや3DCG、実写作品向けVFXなど、幅広い分野のデジタル映像を制作しています。また、我々が所属する研究開発部門では、最先端CG技術の開発や国際会議での研究発表なども行っています」と説明する。
高品質なデジタル映像を効率的に制作するために、同社では社内インフラの整備・拡充も意欲的に推進。現在では、300台以上のワークステーションと、270台以上のレンダリングサーバが社内で稼働している。「デジタル映像作品は、映像を一枚ずつコンピュータが描画することで作られるため、システムのパフォーマンスが非常に重要になります。そこで当社でも、毎年サーバの増強やリプレースを行っています」と四倉氏は続ける。
作品データを収容するファイルサーバについても、極めて高い要求が課せられるとのこと。四倉氏は「当社の映像制作業務はパイプライン思想に基づいており、すべてのデータをファイルサーバ上に配置することで効率化・自動化を図っています。当然、パイプラインの中心となるファイルサーバには、作品数やPC/サーバ台数の増加に対応できるだけの能力と、貴重な作品データをしっかりと保護できる可用性が求められます」と語る。特に最近では、4K/8Kといった高解像度で作られる作品も多いため、大容量化へのニーズも年々高まっているとのことだ。
このような状況に対応すべく、同社では過去数年にわたりファイルサーバ環境の改善に取り組んできた。同社 研究開発部門の石井 裕気氏は「かつては個々の作品ごとに多数のファイルサーバが存在していましたが、2011年頃から統合化に向けた取り組みに着手。様々なストレージ製品を導入・活用して改善に努めてきました。しかし、その一方で、SMBアクセスの性能が出ない、データ量の増加により深い階層のレスポンスが低下する、Windows/Linux用ストレージが別々で管理が煩雑など、依然として様々な課題が残されていました」と振り返る。