「FossID」による脆弱性の監視では、情報を共有するツールを自社開発
同社は現在、全製品のOSSライセンス管理とセキュリティ管理にFossIDを利用している。開発フェーズでは、コードをZIPファイルでアップロードしてスキャンを実行。結果はFossIDのレポート機能を利用して出力し、リリース承認の際にOSSの種類や脆弱性について問題がないことの証左としている。
「当社では、製品リリースの出荷判定会議のワークフローにOSS監査のプロセスを組み込み、開発工程で品質を維持していることを文書化しています。監査フローにはOSSスキャンのプロセスがあり、ライセンス違反がないことのエビデンスとしてFossIDのレポートを添付しています。FossIDは製品リリースに欠かせないツールという認識です」と伊藤氏は説明する。
運用フェーズでは、脆弱性の監視ツールとしてFossIDを利用し、脆弱性を発見した際にはアラートで開発者に対処を促している。また、同社独自の工夫として、検出された脆弱性情報を共有するツールを自社開発して運用している。FossIDから脆弱性情報(メール)が届くとPythonプログラムが起動し、プロジェクト管理ツールにタスクを登録して開発者に確認を促すチケットを発行する。登録された脆弱性情報は、同社のAIプラットフォーム製品である「dejiren(デジレン)」に送られ、dejirenのビジネスチャット機能で共有する流れだ。
「FossIDを導入した当初は脆弱性情報を手作業でチャットに登録していました。それではあまりにも手間がかかることから自動化を検討し、その中で自社製品のdejirenの活用を思い付きました」と大沢氏は語る。
同社では、SBOM(ソフトウェア部品表)の作成もFossIDで行っている。作成したSBOMは同社の独自形式に変換してデータベースに登録し、自社のBI製品である「MotionBoard」で管理。必要に応じてExcelやPDFファイルに変換して取引先などに提供している。

図:FossID脆弱性情報の共有イメージ