導入の背景:いつでもどこでも仕事ができる環境の構築へ 2019年から「ゼロトラスト」の導入に着手
2023年に創業150周年を迎える大成建設。創業以来、数多くのプロジェクトを通じて近代化、戦後復興、経済成長、グローバル化など日本社会の変化とともに歩み続けてきた。「人がいきいきとする環境を創造する」というグループ理念のもと、熊本地震からの復興の象徴「新阿蘇大橋」、世界的スポーツイベントのメインスタジアム「新国立競技場」など、近年同社が手掛けた「地図に残る仕事。」は記憶に新しい。
また、ボスポラス海峡横断鉄道、ハマド国際空港など活躍の舞台は世界に広がる。
業界再編、持続可能社会への対応、DX(デジタルトランスフォーション)の進展など外部環境・構造変化の大きなうねりに先駆的に対応するべく、同社は中長期的ビジヨン「TAISEI VISION 2030」を策定。
Construction(建設)、Development(開発)、Engineering(エンジニアリング)+Environment(環境)、Energy(エネルギー)のThe CDE3(キューブ)カンパニーを目指す。
「TAISEI VISION 2030」達成に向けて、生産性向上を図る働き方改革はベースとなる。同社は、2016年から「インターネットを通じて、いつでもどこでも会社の情報にアクセスし仕事ができる環境」の構築に取り組んでいる。社外でも社内と同様の利便性やセキュリティをいかに実現するか。同社が注目したのがゼロトラストの概念だ。その理由について大成建設 社長室 情報企画部 プラットフォーム計画室長 山田哲也氏は話す。
「社内と社外の境界でセキュリティ対策を行う『境界型防御』の概念は、当社が目指す“いつでもどこでも仕事ができる環境”には適していません。社内外を問わず、守るべき情報資産にアクセスするものはすべて信用せずにその安全性を検証し、情報資産への脅威を防ぐという、ゼロトラストの考え方に共感しました」
同社は2019年にゼロトラスト環境への移行に向けたロードマップを作成。当時は、会社のパソコンを社外に持ち出して仕事を行う利用シーンは限られていた。2020年4月、新型コロナウイルス感染拡大防止に向けて緊急事態宣言が発令され、同社も一部の部門からリモートワーク中心の働き方へとシフトした。
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