情報発掘業務
重要な取り組みの一つとして、社会課題の解決に向けて、新たに研究者や研究機関を発掘していくことがある。これから必要となる研究分野に関する情報をいち早く察知し、集中的に国の研究費を配分することで、より強力に科学技術を推進している。すなわち、科学技術の強いところを更に伸ばし、弱いところを補強するための施策である。集中的な配分先を決めるためには、JST が過去に推進した研究を含めた国内外の研究情報を広範囲に収集し、研究者の最新情報、論文情報(論文数)、特許・技術情報(特許数)、またファンディングの情報(配分額)等を収集して研究の成果を可視化したり全体を俯瞰したり、研究動向を分析することで的確な判断をする必要がある。
「アメリカやEU、中国など、他国の研究成果と比較しながら、常に日本の研究ポジションを把握しておく必要があります。そのためには、JST が保有している情報だけではなく、国内の他の助成機関の情報や海外の情報も取得する必要があります」(黒沢氏)
JSTは、研究者や研究機関、研究成果等を把握するために数々のシステムを構築してきた。関係する情報は、10を超えるシステムやデータベース内に豊富に蓄積されている。
この他に、研究者が作成する研究報告書や、国内外のその他の情報を含めると、取得すべき情報は非常に広範囲に及ぶ。また、各システムやデータの連携が不十分なため、重複するデータも数多く存在する。
「研究者の方々は、所属する機関や組織が変わることがありますが、所属情報が古いまま登録がなされていたり、名寄せが不十分なために重複したデータがあったりと、最新の情報管理が難しい状況でした。これら、重複したデータや散在したデータを整理することに数週間から数か月時間がかかるだけでなく、中にはデータを手に入れることが出来ないことも多々ありました。」(黒沢氏)
このような情報取得は業務が発生する都度行っており、1,000人を超える JST の職員等が行っており、人的な労力やコストを要していた。

【情報収集先】