SAP S/4HANAへのマイグレーション時のテスト戦略 Vol.1

SAP S/4HANAへのマイグレーションにおけるテストのベストプラクティスをご紹介する記事です。

はじめに

SAP S/4HANAへのマイグレーション時の現新比較で採用すべきテストのベストプラクティスは何なのか?
ここでは、SAP社が提供するERP製品である「SAP S/4HANA」へのマイグレーションを行う際のテスト課題と、
APIテスト自動化/サービス仮想化ツール「SOAtest/Virtualize」を用いたソリューションについてお届けします。

次のような方におすすめです。
  • SAP S/4HANAへのマイグレーションにおける現新比較のテスト手法をお探しの方
  • 今後、SAP S/4HANAへのマイグレーションを実施予定の方

SAPとは?

SAPとは、ドイツに本社を置くSAP社が提供するERP (Enterprise Resource Planning)パッケージ製品を表す名称として用いられおり、グローバルで広く導入されている製品です。
ERP製品とは、会計・販売・生産・人事といった業務に関する情報の一元管理を可能にするシステムのことを指し、企業における経営戦略の策定に役立てられています。
従来では部門ごとにシステムが分かれており各々のデータベースで情報の管理や処理が行われるのが通常でしたが、ERP製品の導入により各部門間でのデータ共有が容易になり、経営活動を最適化・効率化することが可能となります。
 
また、SAPには「SAP API Management」というプラットフォームが用意されており、APIの公開・管理することができます。
公開されているAPIはREST、OData, OAuthといった一般的なプロトコルで利用することができますので、外部のアプリケーションとシームレスにデータ連携することが可能です。

SAP ECCの利用者が避けて通れない2027年問題

世界的にも広く導入されているSAPですが、以前より提供されている「SAP ERP Central Component (ECC) 6.0」のサポートが2027年に終了することが発表されています。そのため、この製品を導入している企業は2027年までに対応が必須であることから、「2027年問題」と呼ばれています。

この問題への対応方法として、「別のベンダーに保守サービス依頼する」、「代替製品へ乗り換える」などの選択肢もありますが、SAP ECC 6.0の後継として提供されている「SAP S/4HANA」への移行を選択するケースが多いと考えられます。その理由としては、SAP S/4HANAへ移行することで様々なメリットが受容できるためです。まず、SAP HANAはパフォーマンス性の高いインメモリデータベースで構築されており、データはメインメモリに書き込まれる仕様になっています。そのため、処理の高速化を実現でき、通常の業務プロセス以外にも、AIや機械学習といったデータを活用・分析する場面でも効果を発揮します。従来に対してUIやUXも刷新されているため、ユーザビリティの面でも向上しています。また、SAP ECCではオンプレミスのみの提供でしたが、SAP S/4HANAではクラウド(SaaS)版も利用することができ、ビジネスの幅も広がります。

このように、SAP S/4HANAへの移行には様々なメリットがありますので、サポートの期限切れ以外にも移行する理由があると言えます。

マイグレーションを実施するためのステップ

前項では、マイグレーションによって様々な恩恵が受けられる例をご紹介しましたが、マイグレーションは膨大なコストを要する長期間のプロジェクトとなる場合がほとんどです。特に、今回のテーマであるSAP S/4HANAへのマイグレーションは全社規模で対応することになりますので、それだけ多くのコストが掛かるとともに業務への影響範囲が広くなると考えられます。そのため、マイグレーションを実施する場合は、システム移行前の事前の調査・分析は勿論のこと、移行後の動作検証も含めて十分に実施する必要があると言えます。

一般的にマイグレーションは下記のステップで実施されます。

1. 現状の把握・構想の立案
2. 調査・分析・設計
3. データ変換ツールの設計
4. マイグレーションの実施・疎通テスト
5 .照合・結合・統合テスト
6. 本番移行・データの移行検証

本記事では、上記ステップの中から「5 .照合・結合・統合テスト」のフェーズにフォーカスします。SAP S/4HANAへのマイグレーションのテストフェーズで起こり得る課題を挙げつつ、工数を掛けずに十分なテストを実施するためのソリューションについてご紹介します。

まとめ

本記事では、SAP S/4HANAへのマイグレーションが必要となる背景についてご紹介しました。次の記事では、マイグレーションを実施する上で必要となるテストと起こり得る課題についてご紹介します。
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