日本興亜損害保険株式会社様
信用リスクを考慮した先進の統合ALMリスク管理システムを開発
リスク管理部
リスク管理グループ
統括マネージャー
大志万 桂一 氏
リスク管理部
リスク管理グループ
サブリーダー
駒崎 公治 氏




課題
- 計画当時、負債側では精度の高い分析ができる段階まで達していましたが、負債データの加工に時間がかかること、また金利動向が負債に与える影響度の分析が困難であるなど課題がありました。
- 資産側では、スワップ付債券など一部の資産でキャッシュフローへの正確な反映ができていないこと、非市場性資産のキャッシュフロー生成が未実施、またシミュレーションやVaR(Value at Risk)などの高度な分析が困難であったり、信用リスク管理との統合などいくつか課題がありました。
- 資産、負債それぞれの現在価値から求められるNAV(Net Asset Value = Surplus)の計測、並びにNAVのVaR分析、各種シナリオ分析など、将来収益予測の精度を上げる上で実施すべき課題もありました。
「当時は、きちんとしたALMのシステムが確立しておらず、資産管理は資産のデータを使って表計算ソフトを利用して将来のキャッシュフローを展開し、負債管理はまた別に行うなど、個別に対応していました。それらは実質手作業であり、業務効率に問題がありました。また、機動性や汎用性が乏しいという欠点もあり、表計算ソフトによる運用は限界に近づいていました」(リスク管理部リスク管理グループ統括マネージャー、大志万桂一氏)
「監督官庁から保険会社のリスク管理に対する要求が高まった時期でもあり、信用リスクを計量化し、市場リスクとともにALMを統合的に管理できる仕組みが必要だと判断し、新しいALMシステムの構築に取り組みました」(リスク管理部リスク管理グループサブリーダー、駒崎公治氏)
選定のポイント
- 資産側、負債側、並びに信用リスクを考慮したキャッシュフロー生成、また高度なVaR計測(モンテカルロ・シミュレーション)を実行する上で、処理時間短縮の課題もありました。弊社では、Windows PC上で高速にモンテカルロ・シミュレーションを実行できるエンジンであるRACERS(レーサーズ)を採用することでこれを解決しました。
- RACERSを採用することで、拡張VaR方式(1年後の時価をベースにしたシミュレーション)による、より現実的なVaR計測手法を実現しました。
- 金融商品評価ライブラリFINCAD®を採用することで資産評価処理の開発工数を大幅に削減しました。
- 日本興亜損保様の各課題並びに各機能要件に対して、その解決方法及びシステムとしての実現可能性を分析し、十分な実現可能性を背景にしたシステムの提案をいたしました。この分析実施に際しては弊社の金融工学コンサルタントが参画し、具体的な計測手法のご相談及び提案もいたしました。
- 従来のハイエンドマシンではなく、Windows PCをプラットフォームに採用することで開発コストを削減しました。加えてオブジェクト設計思想の採用等により将来の拡張性を確保いたしました。
「テクマトリックスは金融システムの開発を数多く手掛けており、金融に関するノウハウを持った多くのエンジニアがいます。当社が依頼したシステムを開発して納品するというのではなく、コンサルティングを含めて一緒に作り上げることができるという点が決め手になりました。また、いくつかのベンダーと話をした中で、優れたシステムを開発しようという熱意を感じたのが、テクマトリックスでした」(大志万氏)
システム概要
システムの特徴
- 信用リスクを考慮した統合ALMシステム
- 意思決定支援システムとして機能(シミュレーション機能+VaR)
- 運用を重視し、シミュレーションのバッチ処理を実装
- 将来キャッシュフローを計算することにより非市場性資産、負債を時価評価
- 積立勘定を中心とし、区分経理に対応(契配計算、一般勘定と積立勘定の資産の出入り調整)
- 時価会計を視野に入れ、「拡張VaR」方式を採用

計測するリスク
- 金利、為替、株価変動等の市場リスク
- 与信先のデフォルトによる信用リスク
- キャッシュフローミスマッチによる流動性リスク
- 積み立て保険の解約やローンの繰上弁済によるプリペイメントリスク
対象製品
- 資産 円貨債券、外貨証券、国内株式、企業融資、個人ローン、金銭信託、コールローンetc
- 負債 積立負債(中途返戻金対応)、財形負債、年金負債、合同積立負債
- オフバランス 債券先物、株式先物、金利スワップ、為替予約、クレジットデフォルトスワップ
シナリオ
複数利用者での運用を考慮し、個別にシナリオ設定が可能です。非常に多くのバリエーションで分析が可能です。
- 市場環境
- 保険販売計画
- 資産運用計画 ・負債解約率
- デフォルト率
- 回収率 ・負債ラグ
- 繰弁率
VaR分析の高度化
- Tail VaR
- 信頼水準超過損失額の平均値であるTail-VaRを算出
=>信頼水準の設定ミスによるFat-Tailの見過ごし防止 - 債務超過確立の自動算出
- 資産・負債サープラスのVaRを算出する際、サープラスがゼロになる確率を自動算出
=>積み立て勘定の債務超過確立算出 - 名寄せ
- 資産横断的に名寄せをしてデフォルトを発生
=>信用リスク計量の高度化
(対象資産は株式、債券、企業貸付、個人ローン、デフォルトスワップ)
導入後の成果
- システムの特徴でもある高度で柔軟な分析機能により、各リスクを考慮した精度の高い収益予測が可能になりました。
- モンテカルロ・シミュレーションなど高度な分析処理も短時間で終了する(年金勘定でも30分程度)ため、各種シミュレーションでは、シナリオを変更して複数回実施でき、分析精度が向上しました。
- さらに、複数の分析処理を一括して夜間処理する機能により、報告が集中する月末でも、主業務に与える影響は最小限になっています(少人数での運用が可能)。
- 仮想勘定を任意に設定し、同様の分析ができるため、リスク管理業務ご担当の財務管理部様だけでなく、商品設計ご担当部署の方も新規商品投入シミュレーションのためご活用いただいています。
- 35種類に及ぶ豊富なレポート(期間別収益予想、収益推移、ギャップ分析、NAV分析、VaR等々)は毎月開催される資産運用戦略委員会、ALM委員会等での報告にご活用いただいています。報告書加工などが不要なため、ご担当者の業務負荷が大幅に軽減されました。
- 分析結果がMS-ACCESS形式で出力されますのでMS-Excel等への親和性が高く、更に詳細な分析が容易にできるようになりました。
「表計算ソフトでは、効率的な分析や機動的な対応ができないという課題がありましたが、そうした部分はすべて解消されました。さらに、今まで見えてなかったリスクが明らかになったり、現状分析がより精緻にできたりしたことで、負債の特性に見合った投資ができるようになりました」(大志万氏)
今後の拡張
- テクマトリックスでは、日本興亜損保様から当該システムの販売権を取得し、ALARMS(アラームズ)製品として販売しております。全国規模の共済団体様にご採用頂くなど、各金融機関様から高くご評価いただいております。
- 日本興亜損保様では、機能拡張開発を継続しておられ、現在のシステムは第3版(Version3.0)となっております。
- 今後の機能拡張に関しては、信用リスク計測の更なる高度化、一般勘定対応、並びに生保負債対応などが計画されております。
関連ソリューション
関連サービス/製品
企業情報
| 日本興亜損害保険株式会社 | |
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http://www.nipponkoa.co.jp/ 創業明治25年(1892年)。全国的に広がる独自の営業基盤を有する損害保険会社で、2001年に旧日本火災海上保険株式会社と旧興亜火災海上保険株式会社の合併によって現在の社名となった。2002年には旧太陽火災海上保険株式会社と合併し、収入保険料で国内の五指に数えられる規模の損害保険会社。特定の金融グループに属していない独立系であることを最大の特徴とし、保険代理店、金融機関、運輸業などの独自の営業基盤を持つ。傘下にそんぽ24損害保険株式会社、日本興亜生命保険株式会社などがある。 |
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【この事例に関するお問い合わせ】
カスタムメイドソリューション事業部 カスタマーソリューション営業部
金融システム営業課
TEL 03-5792-8607
E-MAIL: finance-sales@techmatrix.co.jp